彼女の本性

恋愛して甘いの最初だけ。
知り合って付き合うまでの期間が短ければその反動も大きかったりする。

まさか相手の彼女の趣味がコスプレだとは思わなかった。
ある日、デートしようと誘われて後楽園に行った。遊園地なんか何年ぶりだろうと楽しみにして行ってみたら目を疑うような光景が―。

ヘンな格好をした人達が沢山いた。
剣を持っていたり、髪を奇抜な色にした人、際どい格好をした女性、鎧を着た人まで……。

なっ、何なんだ……?

状況が飲み込めず困惑していると、彼女は「ちょっと着替えてくるね」と言ってどこかへと行ってしまった。僕はその得体の知れない空間に約30分間放置される。
まるで異国の都市に突然放り出されたような感覚に似ている。どうしていいか分からないのだ。
呆然と立ち尽くしていると彼女が戻ってきた。
そしてその彼女の姿を見た瞬間、思わず吹き出してしまった。

ピンク色の長い髪のカツラを被り、白いドレスのような服に、腕の中には丸い物体があった。

遊園地に行くにはどこかに旅行へ行くような荷物の量が妙だと思ったけど、あの大きい荷物はその衣装などが入っていたのだ、とこの時初めて気づいた。

「似合ってるかな?///」

照れくさそうに聞かれたが、そんなの分かるはずも無い。
元々スタイルは良かったのでそれだけを見て「似合ってるよ?」と答えた。

瞬く間に彼女の周囲にはカメラを持ったむさ苦しい男達が集まり、フラッシュの嵐。
僕は嬉しそうに写真を撮られる彼女を遠巻きから眺めていた。

何だろう、この完全に置いてけぼりをくらっているような寂しい感覚は……。

その帰り道、電車の中で彼女は僕にこう言った。
「一緒にやらない!? 絶対楽しいからさ!」
「いっ、いや……、遠慮しとくは」
新しい彼女の一面を垣間見たのと同時に、こんな世界があるんだなと思った。
その夜、なぜか眠れなかった。


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